獪岳の立ち位置と果たす役割がすごかった【鬼滅の刃144話】

いやー、めちゃくちゃ熱い展開が続いてますね。鬼滅の刃

143話ラストで登場した善逸の宿敵、獪岳(かいがく)の登場に年甲斐もなく興奮し、過去の話を含め読み返しているうちに、ちょっと、このキャラの設定と盛り込まれた物語上のポジションがすごすぎないかと思い、ブログにまとめてみようかという気持ちになりました。

 

 

1 第一に善逸の宿敵としての獪岳

まず大前提として善逸の兄弟子であり、善逸の師匠の仇にあたる獪岳。初登場は善逸の回想内で、4巻の34話。これは、炭治郎たちが那田蜘蛛山で下弦の月の伍の塁と戦っている頃で、善逸との対決は、かなり初期から構想のあった展開であったことがうかがえます。

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善逸に桃を投げつける獪岳。人であるこの頃から憎たらしい。

鬼として立ちはだかる獪岳は、ヘタレキャラではあるものの、やるときはやるという愛され方をしてきた善逸とは対照的に、少ない出番ながら既に憎たらしさMAX。困難から逃げ続けてきた善逸にこんな表情をさせる獪岳はこの時点で倒されるべき敵役として100点満点といえるでしょう。

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善逸の見せる決意に満ちた表情

 

2 “上弦の陸”であることの意味

かつて上弦の鬼の・伍・陸であった半天狗・玉壺・妓夫太郎は、いずれも物語の中で炭治郎たちの活躍によって倒されていきました。134話において、以前から登場していた、琵琶を弾く鬼の鳴女が新たに上弦の肆の座についていたことは明らかにされていましたが、上弦の伍や陸の存在は伏せられていました。

 

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上弦肆となった鳴女

 

上弦の肆の鳴女と上弦の陸である獪岳の登場は、当然まだ見ぬ上弦の伍の存在を明示し、想像をかきてたてます。さらに・陸ともに過去に登場していたキャラクターであり、上弦の伍も、もしかしたらすでに物語に登場したキャラなのではないかとの期待と憶測はとどまることを知りません。個人的には音柱、宇随天元の弟辺りが怪しいのではと思っているのですが…

これも100点。

 

 

3 “適当な穴埋め”の上弦の鬼ではない獪岳

見下していた弟弟子の登場にイキり倒す獪岳。善逸に「適当な穴埋めで上弦の下っ端に入った」と全鬼滅の刃読者の疑念を代弁されても余裕で受け流します。

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読者の気持ちを代弁。これはできる男の顔。

では獪岳は善逸の言う通り“適当な穴埋め”で上弦となったのでしょうか。それは違います。鬼舞辻無残は、過去に自らの腹心であった下弦の鬼の実力不足に見切りをつけ、容赦なく下弦の鬼たちを自らの手で葬り去りました。そんな鬼舞辻が適当な穴埋めで獪岳を上弦の鬼に据えるはずもありません。さらに獪岳の「俺は常に正しく俺を評価する者につく」の言葉。彼が残忍な鬼舞辻の評価を受け、鬼としての正当な実力を以て上弦の陸の地位を得ていることは疑いようがないでしょう。新たな上弦の陸の獪岳が実力を示せばの鳴女や正体不明の伍の脅威を証明できるというおまけつき。獪岳が恐ろしさを見せれば見せるほど、これからの敵の恐ろしさもアップするという構造。

疑いようもなく100点満点です。

 

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6巻52話より。ここでの鬼舞辻の冷酷さが逆に獪岳の実力を証明している。

 

 

4 鬼になることを選択した獪岳と人として鬼と戦う鬼殺隊

鬼滅の刃は、肉体的に弱い人間がいかに超越的な存在である鬼に対峙するかの物語です。人であることをやめ、鬼となった獪岳と善逸の戦いは、互いの因縁の決着というだけにとどまらず、脆弱な存在でありながら、想いや技術をつなぎ、鬼に立ち向かう鬼殺隊VS鬼という物語の本質を色濃く反映させているといえるでしょう。

また、鬼になることを選択した獪岳の存在によって、あくまで人として戦う鬼殺隊の気高さが際立つことなるという点も、彼の設定の秀逸さに数えて差し支えないと思われます。

はい100点。

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弱い存在であることが幾度も作中で語られる

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最後まで鬼となることを拒んだ煉獄

 

5 呼吸を使える鬼ってどうなの?の試金石となる獪岳

繰り返しになりますが、鬼滅の刃において、鬼は絶対的な強者であり、鬼殺隊は鬼に対抗するために、剣技を磨き、身体能力を向上させる呼吸の技術を受け継いできました。では、その鬼が鬼殺隊の鬼への対抗手段である呼吸を使ったらどうなるのか?これはもう、とてつもない脅威になることは想像に難くありません。雷の呼吸の使い手であった獪岳は、初手こそ善逸に後れを取ったものの、今後、雷の呼吸+鬼の身体能力で善逸を追い詰めていくことでしょう。

獪岳の登場前は、鬼舞辻を追い詰めた剣士に酷似する上弦の鬼の壱、黒死牟が最初に呼吸を使う鬼として登場すると予想した方も多かったと思います。十中八九、黒死牟は最強の呼吸法である、ヒノカミカグラを用いる最強の鬼として炭治郎の前に立ちはだかるでしょう。

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謎の多い上弦の壱、黒死牟

獪岳の活躍が上弦の・伍への期待を高めるのと同じく、彼が呼吸を使える鬼の恐ろしさを体現すればするほど、同様に呼吸の使い手であろう黒死牟の脅威が増すという構図です。なんておいしいポジションにいるんだ獪岳は。ここでも、もちろん100点。

 

 

6 最後に

いかがでしたでしょうか。善逸の回想以来の登場となり、満を持して鬼となって姿を現した獪岳がいかに物語上、意味を持つポジションに設定されるか整理できていたでしょうか。伏線の回収、今後の展開を見据えた設定…ここまでの要素を盛り込んだキャラクターをさらっと登場させてくる吾峠先生の手腕には舌を巻く他ありません。

これ以外にも、彼は悲鳴嶼の回想に出てきた、寺の子供たちを鬼に売った人物に似ている等、まだまだ因縁は残されていそうです。これからも目が離せない鬼滅の刃、ひとまず善逸と獪岳の勝負の行く末が気になりますね。ゴーゴー善逸。負けるな善逸。獪岳なんてぶっ飛ばせ。

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首に下げた勾玉の首飾りは獪岳か